2010年10月15日
レシプロこそヒコーキ!〜プロペラ飛行機の興亡
自動車の技術者が書いた航空機の本。そのせいでしょうか「プロペラ飛行機」といってもレシプロエンジン(ピストンエンジン)に限定されてまして、ターボプロップといったタービンエンジンのプロペラ機は語られておりません。以前紹介した佐貫亦男氏の「飛行機のスタイリング」が、航空機の進化を、航空機のデザインとその国の国民性と共に語っているのに対し、こちらは航空機の進化を、航空機向けレシプロエンジンの進化と共に語られております。
初期のロータリーエンジン(クランクケース・シリンダーがプロペラと共に回転する)やらブリストルのスリーブバルブエンジン等、変わったエンジンも多数紹介されておりまして楽しく読めます。
レシプロエンジン航空機に限定したことでライト-フライヤーからレシプロ航空機のピークであった第二次大戦の軍用機、戦後の旅客機辺りまでが対象となり、航空機の誕生から黎明期というある意味一番面白いテーマとなったかも。
興味深かったのは、第二次大戦中の本土防空のために双発戦闘機に積んだいわゆる「斜め銃」の発祥について。
最初日本軍がラバウルにてB17,B24による夜間爆撃対策に、十三試双発陸上戦闘機に機軸に対して上方・下方に向けて20mm機銃に取り付けて敵機と併走しながら撃つという先方がドイツに伝わり、ドイツ空軍もBf110なんかに斜め銃を搭載して戦果を上げた...要するに斜め銃は日本が発明し、ナチスが真似をした・と思っておりました。
小福田晧文著「零戦開発物語--日本海軍戦闘機全機種の生涯」でもはっきりそう書かれており、「世界の特許といえるほどの発明」とまで言いきっていましたから。
本書では、ドイツ空軍が対英爆撃機対策に「シュレーゲ・ムジーク」(斜めの音楽=ジャズ)の名で斜め銃を開発、日本も同じ発想で戦果を上げた・としています。このように、実際には日本とドイツ同時期に戦果を上げており、同時期に同じ発想に至ったと考えるのが正解のようです。
このように本書は、自動車屋が書いた航空機の本ということでちょっと視点が違ってなかなか面白かったです。
...ただ、著者手書きなのでしょうか、挿絵はどうにかならなかったのでしょうか。
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