JR烏山線は、JR東北本線の宝積寺駅から烏山駅までのローカル線です。非電化路線なので気動車(ディーゼル)が活躍してますが、最近この路線に蓄電池駆動電車EV-E301が運用されてます。
この車両、パンタグラフから充電した蓄電池で非電化区間を走行する車両で、烏山線に2両編成一本が投入されてます。
これは是非乗らねば。「お昼に餃子でビールが飲みたい」と言うかみさん連れて宇都宮駅に向かいます。
行ってみると「餃子のみんみん」は、駅ビルの「ホテル アール・メッツ」に移動してました。

ホテル内の飲食店ということなのか、何だか小洒落た感じになっており、飲み物にはシャンパンまで用意してありビックリ。餃子にシャンパンって、合うの?

餃子はやっぱり

ビールでしょ。
さて、ほろ酔い気分で改札口に移動。乗るのは宇都宮発13:40の列車番号1333M。そう、電車なので末尾に「M」がつくんです。
発車案内板には、

「ACCUM」としっかりアピールしてますね。
ホームに降りると

いました!EV-E301系電車。
正面は非貫通で、平面ながら若干膨らんだ立体的なデザインです。ドアは両開きの3枚扉で、外側と内側にあるボタンで開閉します。

愛称である「ACCUM」はAccumulating(蓄積する)からとっているようで、蓄電池駆動を表してるのでしょう。

烏山行き車両にパンタグラフ。何とも不思議な佇まいです。きっと一生懸命充電しているのでしょう。
車内連結部の壁には

現在の電気の流れがビジュアル表示されています。
さて、我が1333Mは定刻どおり宇都宮駅を出発し、烏山を目差します。宇都宮から宝積寺駅までの電化区間は、普通に電車として走りますので、走行感は当たり前ですがまるっきり電車です。あのぶんぶんうるさくて遅い「キハ40」とは比べ物になりません。
烏山線の始発駅となる宝積寺駅に近づくと、

子連れのお父さんその他が、蓄電池駆動への切り替わりを確認しようと集まってきました。
車両はレールのポイント伝いに右へ、右へ移動して、一番端の烏山線へ向かうホームに停車します。
僕も宝積寺駅でホームに降り、車両の屋根を眺めていると、

パンタグラフ降りたー。ここから非電化区間を、充電した蓄電池で走ります。
パネル表示は

蓄電池から電気が供給されている様子が表示され、やがて発車すると

蓄電池でモーターが駆動している表示が表されます。
烏山線に入ってからのスピードは、若干ペースが落ちた様子です。蓄電池なのであまりペースを上げられないのか、レールの制限なのか。
でも乗った感じはやはり「電車」です。キハとは雲泥の差です。車内案内でも「この電車は…」とアナウンスしていて、非電化路線を走っていることを忘れてしまいそうです。
そうこうしているうちに唯一すれ違い駅である大金駅に到着します。駅には

旧国鉄色のキハが、すれ違い待ちで停車してました。
EV-E301のコクピットです。

右側はグラスコクピット、左側は懐かしい感じのアナログメーターが並んでます。
車両は順調に走り、無事定刻の14:32に烏山駅に到着です。

烏山駅には、ちょうどパンタグラフのある車両の位置にレールのような架線(剛体架線)があり、パンタグラフ経由で充電するようです。
あ、

パンタグラフが上がりました。
運転台から「ただいま急速充電中…」というコールが、何だか家電みたいで笑いました。
さて、久々にやって来た烏山駅ですが、何だか変わってしまいましたねえ。

正直、前の古びた駅舎の方が風情があって好きだったのでかなり残念。
最近日光線の駅もリニューアルされていて、もちろん綺麗になって素晴らしいのですが、寂しい気持ちになるのは僕だけか。
さて、烏山に来てはみたものの、何にも予定もありません。何はともあれ聖地に巡礼。

東力士の島崎酒造。
利き酒コーナーは、しかしラインナップが貧弱だったぞ。ちょっと残念。

それでも一通り試飲させてもらい(鉄道旅の特権だね)、折り返し運転の16:29発1336Mに乗車すべく、烏山駅に戻ります。

龍門の滝。
大金駅到着。今度はこちらがすれ違いのため停車です。

すれ違いのキハ。2両編成で、宝積寺側が旧国鉄色です。
無事すれ違いをこなして、ふたたび宝積寺を目差します。
下野花岡駅を過ぎて、左に登って行く途中から

架線が始まります。
そして宝積寺駅に到着。

この列車は宝積寺駅止まりなので、乗り換えて宇都宮へ帰ります。
さて、日本初の営業蓄電池電車に乗ったわけですが、なぜか感じたのは、違和感とキハへの思いでした。
田舎のローカル線に最新のステンレス製電車の組み合わせが、山あいの景色に不釣り合いな太陽光発電プラントを見つけたような、景色にそぐわないなあ…という感覚です。
もちろん太陽光プラントも最新車両も、地元の人々にとっては必要な物です。なのでまったく勝手な個人的意見でしかない訳でして、それは重々承知しています。
でも…
近い将来、キハを全てACCUMに置き換えるそうです。そうなれば電化工事のコスト無しに電車が走り、スピードアップも図れるし騒音も減る。でも、あのぶんぶんうなりながら一生懸命走るキハがなくなるのは寂しいなあ…と思ってしまうのです。